道の駅「山陰海岸ジオパーク浜坂の郷」は、「人と自然と地域資源がふれあう交流拠点」をコンセプトに、「休憩機能」「情報発信機能」「地域連携機能」を有した新温泉町の玄関口で、平成29年11月に開通した無料の高規格道路・浜坂道路の「新温泉浜坂インターチェンジ」を降りてすぐ、県道浜坂井土線付近(新温泉町栃谷/県道47号線沿い)にあります。
付近のバイカモ公園や七釜温泉をはじめ、山陰海岸ジオパークを構成する但馬御火浦、湯村温泉、上山高原や扇ノ山等、多種多様な観光スポットへアクセス抜群の立地にあって、山陰近畿自動車道のPA的役割も期待されている道の駅なのですが、山陰近畿自動車道は現状「ぶつ切れ」の状態でまだまだ交通量は少なく、道の駅「 山陰海岸ジオパーク浜坂の郷」の利用客もあまり伸びていないようです。逆に言うと、温泉を含め素晴らしい観光資源が独り占めとは言わないまでも、本当にゆっくり楽しめる。
いつになるのか、いずれ全線開通した際には貴重な休憩所として、現在とは比較にならない多くの方が利用することになると思われます。
この道の駅がある新温泉町ですが、山陰海岸国立公園、 氷ノ山後山那岐山国定公園、但馬山岳県立自然公園等の自然公園指定区域が面積の46.3%を占めていて、海と山と温泉を包含する本当に豊かな自然環境に恵まれています。山沿いの旧温泉町と海沿いの旧浜坂町が2005年10月に合併してできた町で、誕生から20年ほどが経ちます。 旧温泉町は伝説の牛とも呼ばれる「但馬牛」の一大産地であり、 そして旧浜坂町は日本海で獲れるカニが有名。そして旧両町に共通する名物が温泉です。 新温泉町は、旧両町のいいとこ取りをした「牛」「カニ」「温泉」が名物の、とても素敵な町。個人的に兵庫県の中でも大好きな町の一つです。
“ジオパーク”とは、地球・大地を意味のジオ(Geo)と公園を意味するパーク(Park)を組み合わせた言葉で「大地の公園」という意味です。
「山陰海岸ジオパーク」の範囲は、東西は京都府京丹後市の経ヶ岬から、兵庫県但馬海岸(日和山海岸、竹野海岸、香住海岸、但馬御火浦)を経て、鳥取県鳥取市の白兎海岸・浜村海岸・青谷まで。 さらに南北には内陸部の神鍋高原・小代・湯村温泉・雨竜等も含まれていて、東西120km、南北30kmのとても広いエリアを指しています。
道の駅の施設
道の駅の施設はユニバーサルデザインをとりいれ、人にやさしい心地良い空間を提供している。
駐車場、トイレとも素晴らしく、仮眠にも最適
敷地面積はおよそ5,000㎡。駐車場には乗用車40台、大型バス4台が駐められる。来客数の割には、十分な広さと感じた。あまり広すぎると、トイレとの距離が遠くなり、トイレ休憩にも仮眠にも不便になるので、ちょうど良い私好みの広さである。
なおかつ、幹線道路からの距離をかなりとって駐車スペースがあるので、静か。仮眠には最適だった。道路利用者の移動の疲れを癒しリフレッシュするために、「真に24時間利用できる駐車場」という印象を受けた。
道路利用者や往来者が24時間利用可能なトイレは、場所もわかりやすく、便器の数も十分。綺麗に清掃していただいてもいる。オストメイトにも対応した多目的トイレ・おむつ換えシート、パウダーコーナー、キッズトイレなども設けてある。
情報提供施設および案内カウンターでは、道路情報、観光・体験施設等の混雑状況や、紅葉や花の開花などの見頃情報を収集し一元的に提供している。
コンシェルジュによる観光プランニングのお手伝いも充実しているとのこと。
物産館では但馬牛と海産物!
物販棟やレストラン棟では、日本一の和牛と評価される但馬牛をはじめ、漁獲量日本一の松葉ガニ、ホタルイカ、ハタハタなど、新鮮な食材を活用した食事や特産品が楽しめる。
牛と、カニ。この双璧が、あまりにすごい!
まず物産館だが、なんといっても精肉のインパクトが強い。
但馬牛関連の加工品では、「但馬牛カレー」「但馬牛めしの素」「但馬牛ミートソーススパゲッティ」等が実に美味しそう。 「但馬牛カレー」は648円。1cm×3cm程度と小さめの但馬牛肉が8つほど入っていて、高級牛肉がはこれだけ入っていればこの値段に納得がいく。
海産物加工品では「かに竹輪」「のどぐろ竹輪」「ホタルイカピリ辛煮」等が目をひく。 名物のズワイガニを使った商品はもちろん人気だが、近年は私が大好きなホタルイカの漁獲高が増えているらしく、ホタルイカを使った商品も多数販売されていた。
もちろん新鮮な野菜や名産のお酒も充実しているのだが、牛とカニのインパクトが強烈すぎるわ。
レストランでも海鮮と但馬牛が喰いて〜!
道の駅レストラン「たじま屋食堂」は海鮮と但馬牛、2つのタイプの異なる料理を提供している。 海鮮関連では浜坂名物の「甘エビ」「もさえび」プラス5つの魚介類を合わせた海鮮丼「浜坂地えびと海鮮5種盛り丼が人気。
ちょっと贅沢をできる人は、2,200円するが 1日5食限定の「地エビ~トランチ」を味わってみてはどうだろう(私には手が出なかったが)。 これは「甘エビ」「もさえび」合わせて合計10尾使った贅沢メニューで、天ぷら/唐揚げ/お造り/海鮮サラダなど色々なエビ料理を味わうことが出来るので、内容の割には安いかもしれない。
但馬牛関連では「但馬牛ローストビーフ丼」「但馬牛ロースステーキ定食」をいただきたいところだが、日本一の高級牛肉のこと、当然2,000円は軽く超え、3,000円前後のランチ出費を覚悟しなくては。「あら挽きハンバーグ定食」「ミックスフライ定食」なら1,000円で大丈夫だ。
物産館の横にある「春来そば てっぺん」では、そば粉100%の手打ちそばが食べられる。
「十割手打ちそば」「天ざるそば」「具だくさん温蕎麦」が人気メニューらしい。 1,400円程度かけてよければ「あんかけ蕎麦」「但馬牛つけ蕎麦」が浜坂らしさ満点。 蕎麦に炊き込みご飯、お吸い物が付いた「十割手打ち蕎麦定食」は1,600円を超えるが、きっと美味しくて、かつ満腹になるのだろう。
さてこの道の駅がある「新温泉町」、ほかにどんな楽しみ方ができるのだろうか。
まずは道の駅近くの七釜温泉!
「新温泉町」と聞くと、当然、温泉に入りたくなる。 道の駅の施設として温泉は無いが、車で2~3分、歩いても15分程度のごく近い場所に天然温泉の「七釜温泉」がある。
この七釜温泉の泉質はナトリウムとカルシウムを多く含む塩化物泉で、神経痛、筋肉痛、関節痛、慢性消化器病など、様々な効用があると言われている。 湯の種類は大きな内湯と露天風呂があり、また温泉名の「七釜」に掛けた「釜風呂」もある。
しかも「源泉掛け流し」だ。
加水なし、加温なし、循環ろ過なし、塩素消毒なし。日本全国でも数少ない正真正銘の掛け流し温泉なのである。
2023年7月に改定された利用料は700円、安い!
併設の足湯は無料で利用することができる。
足湯なら、駅前足湯もある。
この施設は浜坂温泉配湯事業25周年を記念して、平成20年4月にJR山陰本線浜坂駅前の一角にオープンしたもの。 一度に9名で足湯を楽しむことが出来、浴槽の底には玉砂利が敷き詰められていてとても気持ちよく、檜木のベンチでゆっくり休むことができる。
温泉なら湯村温泉へも!
浜坂温泉は昭和53年(1978)、消雪用水源の掘削ボーリング工事中に突然湧出した温泉で、 各家庭を全長18キロメートルのパイプでつなぐ「みんなげ湯の町システム」が整備されて一般家庭への配湯戸数全国一を誇っている。 旅館はもちろん、家庭でも「蛇口をひねれば温泉」に入ることができる夢のような温泉だが、旅人は湯村温泉で楽しみたい。
湯村温泉でまずびっくりするのが「荒湯」だ。嘉祥元(848)年に慈覚大師によって発見された湯村温泉の源泉で、なんと98度の熱湯が毎分470リットルも湧出していて、その高温の湯壺を使って卵や野菜、芋をゆでる事ができる。入ったら間違いなくお陀仏なので、もちろん人間が飛び込めないようになっている。
荒湯のそばを流れる春来川沿いには「ふれあいの湯」とも呼ばれている足湯が三か所設けられており、ベンチに腰をかけて足をゆっくり浸しながら湯村温泉の川から沸き立つ湯けむりの風情を楽しむことができる。
昭和初期の、湯村の町並みが再現されているのが、湯村温泉博覧館「夢千代館」だ。
温泉町で撮影されたドラマ「夢千代日記」で描かれたのは昭和20~30年代の懐かしい湯村温泉。ドラマに登場した「はる家」「煙草屋旅館」などが再現されていて、夢千代日記の世界へと誘われる。
館内には主演した昭和のマドンナ・吉永小百合さんゆかりの品々をはじめ、夢千代日記を通じた広島市との友好関係や、小百合さんが取り組まれている平和維持の活動などが紹介されている。
受付で購入できる専用の便箋に手紙を書き、館内の丸型ポストに投函すると一年後に届くという「夢てがみ」も好評だ。
浜坂県民サンビーチ・松の庭
日本海を望み、特に夏にはたくさんの観光客が訪れるのが浜坂県民サンビーチだ。ここに有る「松の庭」にも足を伸ばしたい。正式名称は、『浜坂海岸飛砂防備林』。
ボランティアによる約4ヘクタールの松の庭の清掃が見事に行き届き、「日本の白砂青松100選」にも選ばれている。当初の砂防林の役割りから観光のシンボル、憩いの場ともなり、キャンプや散歩を楽しむ事ができる。
但馬御火浦(三尾)も見逃せない
昔、神功皇后が三韓遠征のため、越前国笥飯浦の港を出発した際、三尾沖で濃霧に遭遇したそうな。重臣が神に祈ったところ、三尾の漁師が日和山でたいた「かがり火」が見え、皇后はそのかがり火に導かれて無事三尾浦に着くことができた。これが「御火浦伝説」。
三尾漁港の東前方に「三尾大島」と呼ばれる島があり、ここを中心に、岸田川河口から香美町伊笹岬までの海岸一体には、日本海の荒波で侵食された凝灰岩、花こう岩などが織りなす変化に富んだ景色展開される。
この地域一体は、地質学の宝庫として学術的にも注目されている。
城山園地(諸寄)の絶景
道の駅「山陰海岸ジオパーク浜坂の郷」から西北西方面、芦屋坂から城山園地に向かうと、つづら折る道の視界が大きく開け、諸寄港が一望できる駐車場に着く。 ここから見る諸寄の美しい海と日本海に沈む夕陽はまさに絶景だ。