兵庫県北部に位置するハチ・ハチ北スキー場は、ハチとハチ北の2つのエリアに合計25のコース・ゲレンデがある関西最大のスキー場です。
もちろん、冬季オリンピックが開催された北海道や長野のど外れたスケールには遠く及びません。30歳代半ばでスキーを始めた私は2人の子どもがそれぞれ小学校を卒業するまで15年間ほどスキーに熱中し、最初の5年はヨーロッパアルプスのオートルートを目指してのトレーニング、後半の10年は子どもたちを連れての家族イベントで、毎冬のように北海道にも長野にも出かけていました。
しかし兵庫県民の私にとっては、一人で日帰りも可能で、小学生の子どもを週末だけ連れていけるハチ・ハチ北スキー場はとても貴重なスキー場だったのです。
道の駅「ハチ北」は、元々はスキー場に向かう車のチェーン着脱場だったのですが、1997年に道の駅としてオープンしました。
駐車場は十分広い
もともとスキー場に向かう車のチェーン着脱場だったので、車の出し入れ、駐車については当然好適な条件を備えている。こと駐車に関しては何の問題もなく、仮眠については季節を問わず、かなり冷える場所なので風邪をひかないよう注意したい。
駅施設は小規模でもトイレや休憩に問題なし
駅施設は物産館とレストランから成るシンプルな構成で、 どちらかといえば小規模な道の駅といえる。 ただ、休憩スペースは広い。
小ぶりな物産館
小さな物産館なので、買い物はしやすい。
一般的な道の駅ほど野菜や米などの物産館の定番がひしめいている感じはなく、品目としては近隣の特産品である丹波黒豆、但馬牛、栃の実を用いた特産品が目に付く。 丹波黒豆を用いた商品では「丹波黒豆茶」「黒豆チーズケーキ」「丹波黒豆クリーム大福」「丹波黒豆やわらか煮」が、 但馬牛を用いた商品は「但馬牛カレー」「但馬牛肉味噌」が、 栃の実関連では「栃の実かりんとう」などが販売されている。 その他、「出石そば」「鯖のへしこ」や沢庵、塩麹漬け、ししゃもきくらげ等の漬物類も販売されている。
レストランはスキー場文化なのか麺類が中心
道の駅「ハチ北」のレストランは、麺類のメニューが中心になっている。 きつねうどん/そば、天ぷらそば/うどん、肉うどん、あんかけラーメンなど、スキー場にあるあるの簡易な食事文化に近いが、山菜ごはん付のセットメニューもある。 ご飯ものとしては中華丼、カルビ丼、天とじ丼、カレーなどがあり、お腹が空いている人は麺類とのセットを頼んでしまうことになるだろう(笑)。 あまり地方色のない普通のメニューが多い中で唯一、地産の但馬高原鶏を用いた親子丼はオススメだ。
スキーシーズン以外の楽しみ方は?
ハチ北高原は、標高1,221mの鉢伏山(はちぶせやま)の北側にある高原で、山頂からの景観は素晴らしく、南には兵庫県最高峰の氷ノ山、遥か西には日本百名山の大山(鳥取県)を望むことができる絶景ポイントも多い。
高原にはさまざまな高山植物が咲きみだれるほか、兵庫県の天然記念物「大笹のザゼンソウ群落」など多数の貴重な湿地植物も見られ、スキーシーズン以外も十分楽しめる。
春~秋へ彩りを変える高原では、恵まれた自然の中、バードウォッチング、森林浴、パラグライダー、キャンプ、オートキャンプ、ハイキングなどアウトドアスポーツが満喫できるので、そういう趣味の人はぜひ足を運ぶと良いと思う。
スキーシーズン以外のハチ北高原での楽しみの中に、ハチ北高原の東斜面上部標高830mにある「大沼湿原」での自然との触れ合いがある。ここは地すべり地背後の凹地に発達した約2haもの高層湿原で、兵庫県を代表する規模と内容をもっている。とりわけ樹木に関心のある方の注目は、この湿地を代表とする樹木である「ハルニレ」の木だ。「ハルニレ」は近畿で兵庫県と滋賀県にしかない木で、まとまって樹林となるのは珍しく、県内最大クラスの巨木もあることから兵庫県の郷土記念物に指定されている。
湿地の周囲にはトチ、ケヤキ、カエデ、ミズナラ、ブナ、ミズキが多く見られ、5月中旬には、大沼近くの白樺の周りにラベンダー畑と見間違うようなムスカリの群生が見られる。湿地にはウッドデッキの遊歩道が整備されていて、ヤマドリゼンマイなどの山野草やモウセンゴケなどの湿地植物を見ることができ、ヒメボタルが多く生息する場所でもあるので、夏も楽しめる。
一帯には絶滅が危惧される保護上重要な動植物も多く、それらを集めた「レッドデータブック」に掲載されている種は、大沼湿地のものでヤマドリゼンマイ、テツカエデ、エゾシロネ、カキラン、ミズトンボ、シオガマギクなど12種もあるという。
しかし、ススキや大きく育ったナナカマドなども見られ、年を追うごとに湿原の乾燥化が進んでその姿も変化つつあるという。