千本桜の寺「谷厳寺」から「真宝寺」を巡って平和を祈り、道の駅「ふるさと豊田」へ(トイレ○仮眠○休憩◎景観○食事○設備○立地◎) 

信州は中野市にある標高1351mの高社山の麓に、曹洞宗の寺「谷厳寺(こくごんじ)」がある。

谷厳寺は千本桜の寺として有名だ。ソメイヨシノ、コヒガン、しだれ桜など、1000本以上の桜が咲き乱れ、まさに壮観というしかない。

ここを訪れるべき理由もう一つあった。

ここには「憲法9条の碑」が建っているのだ。
谷厳寺戦時中、足立区寺地国民学校の児童43名の疎開を受け入れていた。

食べ物は極端に不足していて、米はなく食べるものは芋だけ43人の子どもたちは、飢えに耐え、親から離れた淋しさに耐えて、慣れない集団生活を必死に生きた。

そんな時代を二度と作らないため、谷厳寺は、確認が取れた子どもたちの名前を刻んだ碑と憲法9条の碑を建てたのだ。

80人の子どもたちが集団疎開してきた真宝寺

高社山を降りて同じ中野市にある浄土真宗の真宝寺にも、戦時中、当時の高田第二国民学校(現豊島区雑司谷小学校)の児童80人が寝泊まりしていた。

集団疎開してきた子どもたちが淋しさのあまり傷つけた本堂の柱を模して、平和の塔の柱には長さ80センチの引っかいた傷が型どられている。

ここの平和の塔では、2009年8月6日から毎年火を灯して平和の集いを行っている。 

長野県だけで、3万人近い子どもたちが都会から疎開してきた。疎開した子どもたちが戦後家に帰ってみれば家族がいなかった、そんな運命の子もたくさんいたことだろう。

私自身、戦争で父を失った母と父の養子縁組があってできた子だから、その苛酷な運命を思うことは少しはできる。そして、戦争に翻弄される子どもたちは2度とつくってはならないと強く思う。

童謡「ふるさと」の故郷

道の駅「ふるさと豊田」は、真宝寺のすぐそばにある。

上信越自動車道の豊田飯山ICから国道117号線バイパス(替佐静間バイパス)を北東に400m走った場所、そこが豊田村だ。

豊田村は、童謡「ふるさと」などを手掛けた高野辰之氏の出身地である。

駅から1km西には欄干を順に叩くと「ふるさと」のメロディーが鳴る「ふるさと橋」がある。

「うさぎ追いしかの山 小鮒つりしかの川 夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷

いかにいます父母 恙なしや友がき 雨に風につけても 思いいずる故郷

こころざしを果たして いつの日にか帰らん 山は青き故郷 水は清き故郷」

戦争に翻弄された子どもたちのことを思いながら「ふるさと」を聴くと、涙を禁じ得ない。

30年の歴史

この道の駅は、1997年登録の老舗。

できて20年ほど道の駅に訪れる客は少なかったが、2016年10月に沿道の替佐静間バイパスが完全開通してからは道の駅の利用者が急増している。

駐車場は、とても停めやすく利用しやすい。仮眠もとりやすい。

トイレは清掃が行き届いていて、気持ちよく使わせていただいた。

休憩場所は、施設内外とも落ち着ける環境が整備されている。

「あちゃま」な特産品が並ぶ物産館

物産館には、「あちゃまおやき」「あちゃまみそゆべし」といった「あちゃま」な商品をはじめ、中野市の伝統野菜の「ぼたんこしょう」、長野県園芸特産振興展で知事賞を受賞した「おひさまのリンゴパイ」、地産の野菜と希少な「みゆきポーク」がたっぷり入った「匠の夢カレー」、 信州リンゴジャムが入った銘菓「豊田の華」などが並び、お土産選びは迷うこと必至。
ちなみに「あちゃま」とは現地の方言。「あら、まあ」という意味で、びっくりした時に使う表現だ。

新設されてますます充実の農作物直売所

昔から農作物直売所はあるにはあったそうだが、新たな建物を作ったことによって農作物直売所の販売スペースが約3倍に広がったそうだ。

ここには地産の新鮮な農作物が多数並び、地元の人を含めて道の駅一番の賑わいを見せている。

「みゆきポーク」が人気のレストラン

レストランでは「みゆきポーク」と呼ばれる地産の豚肉を使ったメニューが人気を集めている。

「みゆきポーク」とは信州飯山地区でわずか数軒の養豚農家でしか飼育されていない希少な豚で、 柔らかな肉質と脂質の甘みとコクが大評判。 一番人気は「スタミナ豚丼」。みゆきポークに、物騒な名前の「半殺しキムチ」をトッピングした甘辛の丼だ。 特大のえび天と山菜とキノコの天ぷらが山のように盛られている「大海老天丼」や地粉を使ったそば類は、まさに「ふるさとの味」だ。